こんにちは。都筑区の放課後等デイサービスFORTUNAです。
今回は発達性協調運動障害の④で「学童期における運動面で気になる子の実態」の「微細運動」についてです。
<微細運動>
微細運動においては、「文字がマス目からはみ出る」「雑巾をしっかり絞れない」「折り紙やプリントをキレイに折れない」「書写において文字のバランスが悪い」「食べ方が汚い」などがあげられました。
低学年では、これ以外に「箸が上手く使えない」「食事を口からこぼしやすい」などが多く、微細運動の苦手さがある子どもは、国語の書写、算数の図形、理科の実験、図工、音楽などの技術教科など様々な場面で困難があることが示されました。
微細運動とは手と手指の動きを中心とした運動です。ただし、器用にものを操る場合は、粗大運動と微細運動が巧く協調していることが必要になります。
例えば、ノートの枠に沿って字を書くときは、手と手指のコントロールが必要になるだけではなく姿勢のコントロール、即ち上肢の安定性や筋緊張の調節などが求められます。要するに器用にものを操るためには身体全体と手指の協調性が必要となってくるのです。
このような操作能力は、学習面においては字を丁寧に書くこと、工作作品を丁寧につくること、生活面では指先に力を入れたり、力加減をコントロールする力となって、物を丁寧にまた正確に扱う力に繫がっていくのです。
また、書字において字が枠からはみ出る、ハサミを上手く使うことが出来ない、定規で直線を引けない、おはじきが上手くできないなどの背景には、目と手の協調や手と手指の動きの分化の未成熟などによる不器用さが考えられます。
そのような場合は学習の達成感が得られにくく、学習意欲が低下してしまうこともあります。
多動性や衝動性がみられる子どもの場合、力やスピードのコントロールが苦手なため物を落として壊してしまったり、消しゴムで消す場合に紙を破いてしまったりしてしまい、失敗体験により物を扱う経験が少なくなりがちです。
触覚過敏がある場合の子どもにとっては、持ったり触ったりする行為そのものに不快感があり、行為そのものを避けようとする場合もあります。
③と④で粗大運動と微細運動についてお話しをしました。それを読んで頂くとわかってもらえると思いますが、発達性協調運動障害とは、外を走ったり、鉄棒をしたり、マット運動をしたり、野球をしたりする運動だけではなく、あらゆる動きについての話なのです。まずそれを理解していなければ子どもたちへの良い療育には繫がっていかないと思います。
FORTUNAでは、公認心理士・臨床心理士による認知行動トレーニングを専門的な支援として行っております。また、体育の要素が含まれる運動のトレーニングでは、体育大学を卒業した職員や国からの資格認定を受けた職員が楽しみながら身体を動かす習慣をもてるように、プログラムに工夫を凝らして行っております。(最近では、ダンスインストラクターのプロ資格を取得した職員によるダンス(リズム運動)の活動も始めました)
この認知行動トレーニング(通称:コグトレ)の内容がまさしく、「字を丁寧に書く」、「直線や曲線を描く」、「道具を上手く使う」などとなっており、発達性協調運動障害のトレーニングにもなっているのです。おわかり頂けたでしょうか?
次回は、発達性協調運動障害がある子どもの生活面について考えてみたいと思います。
<筆者職員>
小学校教員退職後に某大手スポーツクラブでGMをやりながら、小学生の子どもから高齢者までの運動指導(プール指導を含む)。その後、県立養護学校でさまざまな障害をもっている小学生に運動指導を実施。
また某高校のサッカー部プロコーチとして冬の全国高校選手権大会や夏の高校総体にも数回出場、サッカーJ1の某チームのプロコーチとしてアカデミー(U-15~U-18)、またスクール(U-9・10・11・12)の子どもたちの指導経験がある。